なぜ日本のトラックは海外で選ばれるのか

なぜ日本のトラックは海外で選ばれるのか

なぜ日本のトラックは海外で選ばれるのか

― 車検制度から見る日本車の信頼性 ―

 

二カ月ほど前、研修のため、フィリピンへ行かせていただきました。そこでニノイ・アキノ国際空港からスービック経済特区へ向かう途中、高速道路を利用しました。その道中で、数多くのトラックとすれ違いました。そこで、あることに気付きました。

それは、走っているトラックの多くが左ハンドル仕様でありながら、日本メーカーのトラックだったことです。

日本から遠く離れたフィリピンの地で、いすゞ、日野、三菱ふそうなど、日本で製造されたトラックが物流や産業を支えている姿を見て、「こんなにも日本のトラックが海外で活躍しているのか」と、とても嬉しい気持ちになったことを覚えています。

しかし、なぜ日本のトラックは海外でこれほど多く使用され、信頼されているのでしょうか。

 

その理由の一つとして、日本独自の厳しい車検制度と、それによって維持される車両品質が挙げられます。

日本では、自動車を安全に使用するために「車検」という制度があります。車検とは、国が定めた安全基準を満たしているかを定期的に確認する制度です。特にトラックは、人や荷物を運ぶ重要な役割を持っているため、普通車以上に安全性が求められます。

車検では、ブレーキの効き具合、タイヤの摩耗状態、ハンドルやサスペンションなどの走行に関わる部分、ライト類、排気ガスの状態、車体の腐食や損傷など、多くの項目が細かく確認されます。また、車検を受ける前には整備工場などで点検や修理を行うことが一般的であり、日本では「車検に通すための整備」だけではなく、「安全に長く使うための整備」という意識が根付いています。

その結果、日本で使用された中古トラックは、海外へ輸出される際にも一定以上の品質が保たれていることが多く、「日本車は壊れにくい」「中古でも安心して使える」という高い評価につながっています。

 

では、海外の車検制度はどのようになっているのでしょうか。

 

まず、アメリカでは日本とは少し異なり、州によって車検制度が大きく違います。連邦政府による統一された車検制度ではなく、各州が独自の基準を設定しています。そのため、厳しい安全点検を行っている州もあれば、安全検査自体を実施していない州もあります。また、排気ガス検査を重視する州もあり、地域によって車両管理への考え方に差があります。

ヨーロッパ諸国では、安全性や環境性能を重視した車両検査制度が整っています。例えばドイツでは、定期的な車両検査が義務付けられており、ブレーキやライト、排気ガス、安全装置などを厳しく確認しています。また、イギリスでは「MOTテスト」と呼ばれる検査制度があり、一定年数を経過した車両は毎年検査を受ける必要があります。ヨーロッパでは環境規制も厳しく、排気ガスや安全性能への要求が高いことが特徴です。

 

MOTテスト…イギリスで行われている車検制度の一種です。車両が安全基準や排出ガス基準を満たしているかを確認する検査で、登録から3年経過した車は毎年受検が必要です。

 

一方、アジアでは国によって車検制度の整備状況に大きな差があります。日本や韓国などでは比較的整った車両検査制度がありますが、発展途上国では検査体制や整備環境が十分ではない地域もあります。そのため、現地では「多少古くても壊れにくい車」「修理しながら長く使える車」が求められています。

特にフィリピンでは、車両登録時や一定期間ごとに検査制度がありますが、日本ほど細かい整備管理が行われているわけではありません。また、道路環境や気候条件も日本とは異なり、渋滞や高温多湿な環境の中で車両を使用することになります。そのような環境でも、日本のトラックは高い耐久性を発揮し、長期間使用できることから、多くの企業や運送業者から選ばれています。

 

さらに、日本のトラックが海外で評価される理由は、車検制度だけではありません。日本のトラックは、燃費性能の高さ、故障の少なさ、狭い道路でも運転しやすい小回り性能など、多くのメリットがあります。特に東南アジアでは、都市部の狭い道路や地方の未舗装道路など、さまざまな環境で使用されるため、日本製トラックの扱いやすさが大きな強みになります。

 

このように、日本のトラックが海外で活躍している背景には、日本の厳しい車検制度によって守られてきた品質と、自動車メーカーが長年積み重ねてきた技術力があります。

日本では車検制度は当たり前の存在ですが、海外から見ると「安全な車を維持する仕組み」として、日本車への信頼を生み出す大きな要素になっています。

今回のフィリピン研修で、実際に海外の道路を走る日本のトラックを目にしたことで、日本の自動車産業が世界の物流や人々の生活を支えていることを実感しました。日本で培われた品質へのこだわりや安全への意識が、国境を越えて世界で評価されていることを学ぶことができました。

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