<第1弾>物流テックとは
<第1弾>物流テックとは
物流テックとは
物流テックとは、物流業界におけるテクノロジーの活用を指します。
物流には「保管」「荷役」「輸送」「包装」「流通加工」の5つの機能があると言われており、物流テックはそれらの工程において、効率化や最適化を進めるためのIT技術です。物流テックは、近年のEコマース市場の拡大や2024年問題を見据えて、導入する事業者が増加しています。次に物流テックの市場規模について見ていきましょう。
物流テックの市場規模
物流テックの市場規模は、急速に成長しています。富士経済が行った「次世代物流システム・サービス市場調査」によると、物流におけるロボティクス・オートメーション(普段人間がパソコンで行っている事務作業を自動化するロボット技術)は、2030年に、2021年比3.5倍の1441億円まで拡大すると予測しています。2030年に向けて、ドライバーの労働環境の改善や人材確保のための取り組み、新たな輸送スキームの構築などが進む中で、物流テックの需要は増加しています。これは、2024年問題が注目される中で起こっており、荷待ち時間の短縮やトラックの稼働率向上、配送や倉庫内作業の効率化などを目指し、ロボットやAI、IoTなどの先端技術を活用したデジタル化の取り組みが一層加速することが予測されています。
このような動きにより、物流テック全体の市場規模は、2030年に2021年比で78.6%増加し、1兆1831億円まで拡大すると見込まれています。
活用事例
近年、物流業界では労働力不足が深刻化しており、特に物流現場の搬送業務は重労働です。このような状況下で注目されているのがAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)などのロボットです。これらのロボットは搬送業務を代替することができます。特にAMRは、人との協働を考慮して開発されたロボットであり、柔軟な活用が可能で多くの現場で重宝されています。
また、現場では在庫管理にもIoT技術(モノのインターネット)が導入されています。これにより、倉庫内デバイスや商品自体からデータ収集が可能となり、在庫管理の作業効率化につながっています。さらに、従来は現場での設備トラブルなどは事後対応でしたが、IoT技術によりリアルタイムで異常を検知できるようになっています。
配送業者などでは、ドライバーのルート表示やトラックの追跡を容易にするために、GPSやモバイルアプリを活用しています。物流業界全体では、これらの物流テックが欠かせない存在となっています。
導入する効果
物流テックの導入には、多くの効果があります。
まず、IoT技術による在庫管理やロボットの活用で物流プロセスが効率化され、在庫管理や配送時間は短縮されます。これにより、顧客への迅速なサービス提供や配送業務のコスト削減に繋がります。また、物流データの可視化により、リアルタイムでの在庫管理やトラッキングが可能となり、サプライチェーン全体の透明性が向上します。さらに、AIや機械学習の活用により、需要予測やルート最適化が可能となり、効率的な物流計画が立てられます。 物流テックは、物流業界における生産性や競争力の向上に大きく貢献しています。
今回は物流×テクノロジーをテーマに「物流テックとは」についてご紹介しました。物流テックの市場規模は急速に拡大しており、日本の高齢化や労働力不足といった社会課題の解決に向けて、大いに活用される可能性があります。ただし、導入コストや技術的な課題、セキュリティやプライバシーの問題にも注意が必要です。これらの課題に対処しながら、持続可能な物流システムの実現に向けて進化していくことが重要です。